違約金と消費者契約法

2009.04.06

1.回答                                  
  違約金を売買代金の20%相当額とすることは、消費者契約法に違反しません。

2.違約金合意の自由と制約 
  売買契約において、当事者は、自由に違約金を決めることができるのが原則です。
  ただし、①公序良俗違反の制約、②宅建業法の制約、③消費者契約法の制約の3つの
 制約があります。

3.①公序良俗違反の制約 
  民法は、公の秩序または善良の風俗(公序良俗)に反する事項を目的とする法律行為を 
 無効としています(同法90条)。違約金の合意に関しても、予定賠償額が実際に生じる損害に
 比べて著しく過大である場合には、暴利行為であって、公序良俗に違反するものとして無効と 
 なります(東京地裁平成13年2 月27日判決)。

4.②宅建業法の制約
  売買契約の売主が宅建業者であるときには、宅建業法により、債務の不履行を理由とする 
 契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が
 代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない、と定められており(宅建業法38条
 1項)、この規定に反する特約は、代金の額の10分の2を超える部分について、無効となります
 (同条2項)。

5.③消費者契約法の制約
  違約金を定めるにあたっては、消費者契約法にも留意しなければなりません。
  売買契約が消費者契約に該当する場合には、消費者契約法により、消費者契約の解除に
 伴う損害賠償の額を予定し又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該
 条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者
 契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものについて、その超える
 部分が無効となると定められています(同法9条1号)。消費者契約法には、消費者の利益を
 一方的に害する条項が無効とされるという定めもあります(同法10条)。
  売主Y(事業者)、買主X(消費者)の売買契約において、契約違反があったときの違約金の額を
 売買代金の2割と定めた特約(違約金特約)について、消費者契約法に違反するのではないか
 どうかが争われた事案がありました。
  裁判所は、「Xは、違約金特約が、消費者契約法9条1項及び10条に違反し無効である旨主張する。

  ところで、事業者Yが自ら売主となる建物の売買契約であるところ、宅建業法38条は、このような
 場合、違約金等の額は代金額の10分の2を超える定めをしてはならず、これに反する特約は
 これを超える部分について無効とする旨規定しているから、売買代金の2割と定めた違約金
 特約は宅建業法38条に違反するものではない。
  そして、消費者契約法11条2項は、消費者契約の条項の効力等について民法及び商法以外の
 他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによると規定しているから、本件契約に
 ついては、同法9条1項及び10条は適用されない。
  この点、Xは、宅建業法38条の規定は単なる取締規定である旨主張するが、同規定が消費者の
 利益保護という見地から契約内容の適正化を図るために私法上の効力に対して直接規制をした、
 いわゆる効力規定であることは、その規定の仕方自体からも明らかであるから、Xの主張は採用
 し難い。
  そうすると、本件違約金特約は、消費者契約法9条1項及び10条に違反する旨のXの主張は
 理由がない」として、消費者契約法違反であるとの主張を退けています(福岡高裁平成20年3月
 28日判決)。

6 損害賠償の予定
  なお、民法では、債務の不履行について損害賠償を予定することが認められており、損害賠償が
 予定されたならば、裁判所はその額を増減することができません(民法420条1項)。
 違約金を定めた場合には、違約金は損害賠償の額の予定を意味するものと推定されます(同条3項)。