
1. 平成19年5月、住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)
が成立、公布されました。
この法律は、瑕疵担保責任が確実に履行されるように、新築住宅の売主などに対し、保証金供託
又は保険加入を義務付ける法律です。
2. さて、宅建業法上、瑕疵担保責任は引渡日から2年以内に制限できるので(業法40条1項、
2項)、業者が売主となる売買契約には、通常、瑕疵担保責任を2年とする特約条項がつけられて
います。
しかし一般市民にとって、住宅は生活の基礎であり大変に高価な買物です。住宅の基本的な
構造部分についてまで瑕疵担保責任を2年に限定するのは、あまりにも短すぎるのではないかと
考えられるようになりました。そのため、平成12年4月に施行された品確法(住宅の品質確保の
促進等に関する法律)により、新築住宅の売主は、建物の基本的構造部分については、10年間
瑕疵担保責任を負うこととされました。(品確法88条1項)。この定めは強行法規であって、これと
異なる特約には効力がありませんから(同条2項)、住宅の購入者には、引渡しから10年間瑕疵
担保責任を追及する法律上の権利が保障されます。
3. もっとも法律上の権利があることと、実際に保護を受けることとは、別の問題です。購入者に
法律上の権利があっても、売主に資力が無ければ購入者は実際の保護を受けられません。
平成17年11月に発覚した耐震強度偽装事件では、この問題が現実化してしまいました。
すなわちこの事件では、偽装された構造計算に基づいて建築されたマンションが販売されました。
建物の基本的構造部分に瑕疵がある以上、購入者は、売主に対し、品確法に基づく瑕疵担保責任
を追求することが可能です。しかし事件により事業を継続できなくなったマンションの売主は、事件
発覚後まもなく倒産に至り、その為に多くの購入者にとって、品確法に基づく権利をもちながら、
実質的な保護を受けられないということとなっていしまいました。
このような状況が不動産業に対する社会的な信頼を揺るがすものであることは、論を持ちません。
耐震強度偽装事件をきっかけに、建物の安全確保と住宅の購入者保護の為の様々な対策が講じ
られましたが、住宅に関する瑕疵担保責任が確実に履行されるようにすることは、制度改革の一つ
の眼目とされ、今般の住宅瑕疵担保履行法の制定に至ったわけです。